学校じゃ教えてくれない!AI研究者が語る、意思決定の極意

皆さん、こんにちは!

理系学生のための学生団体「RikeJoy」です。

11/17(日)に開催された、第1回RikeJoy講演会の様子をレポートしていきます!


今回の会場は埼玉県の「浦和PARCO」でした!

来場してくださった方々、ありがとうございました!

今回の講演会のためにRikeJoyの紹介動画も作ってみましたよ♪

こちらのリンクから視聴できるので、ぜひご覧ください!



さて、今回の講演会のタイトルは

「学校じゃ教えてくれない!AI研究者が語る、意思決定の極意」

まずは講演者のご紹介から。


今回の講演者は

宮本達史(みやもと たつじ)さん

です。

宮本さんはAI技術者として活躍されており、現在は5G/IoT技術の仕様策定運用AI研究開発プロジェクト、そして技術の世界標準化に取組むなど精力的に活動されています。

最近では、人工知能(AI)に関する特許を取得したそうです!どんな内容なのでしょう?

一般にAIに学習をさせる時は、AIにデータセットを読み込ませた後、AIの学習成果(アウトプット)を人が確認してフィードバックをし、AIに再学習させる、という流れで行います。

宮本さん達が開発した技術では、人間からのフィードバックをフィルタリングすることによって、より効果的にAIの学習効率を高めることができます!

後の構想としては、そもそも初めのデータセットを評価するシステムを実現させたい、とのことです。平たく言えば、

「いかに良い情報をAIに入れてあげるか?」ということです。


この技術によって、さらにAIの学習効率を高めることができるそうです!すごい!

そして、技術者として大活躍されているかたわらで、進路に悩む学生たちを救うべく、進路相談にも精力的に取り組んでおられるとのこと!

そんな宮本さん、今回は「意思決定の極意」について話して下さいます。

私たちは、生活についての小さな事から人生を左右する大きな選択まで、たくさんの事を自分の意思で決定しながら生きています。

そしてその選択の責任は他でもない、自分自身しか取れませんよね?

だからこそ悔いのない選択をしていきたいものです。

AI技術者、そして学生進路アドバイザーの視点から見た「意思決定の極意」とは一体何なのでしょうか?


目次

1. 先人に学ぼう!

2. 学生が備えるべき視点とは?

3. 人間らしく生きる

4. これから求められる学生像


1. 先人に学ぼう!

「意思決定の極意」について考えるときには、元サッカー日本代表監督を務めた岡田氏の経験が参考になるとのことです。

岡田氏が前任のオシム監督の後を引き継いで、日本代表監督に就任したのが、2010年の不FIFAワールドカップ・アフリカ大会の直前のこと。

しかし、ワールドカップ直前の強化試合での戦績が振るわず、岡田監督への風当たりが非常に強くなっており、監督自身とても大きなプレッシャーを抱え、精神状態はどん底だったそうです。

しかし、ワールドカップ開催直前に

「中途半端になったときには足がつかないが、底まで落ちれば地に足がつく」

という事に気が付いてからは、開き直って無心に近い状態で采配をふるう事ができるようになりました。

結果として、岡田監督率いる日本代表チームは各国代表、サッカーファンの予想を大きく覆して決勝トーナメント進出を成し遂げ、国内外から高い評価を得ることができました。

宮本さんによると、この中に「意思決定」極意が隠れているそうです!

その極意とは、

「落ち着いてこそ正常な意思決定ができる」

ということです。

先の岡田氏の例でも、メンタルがどん底に落ちていったことで「地に足が付いた」、つまり落ち着きを得ることができたからこそ、冷静な采配を振るうことができるようになったのでした。それがあの大健闘を生んだのです。

歴史は繰り返す、なんて言葉もありますが、人生の先輩たちの経験から学ぶことも大事なんだな、と思いました!


2. 学生が備えるべき視点とは?

1つ目の極意は「落ち着いて冷静になること」でした!

ここで、2つ目の極意の話に入る前に、イマドキ大学生の典型的な2タイプについて考える必要がある、と宮本さんは言います。

この2タイプの学生の分類に気が付いたのも、学生のOB・OG訪問を通して、多くの学生を見てこられた宮本さんならではの観点と言えそうです。

例として、「ゴリラ君」「パンダ君」という2人(匹?)の学生について考えてみましょう(動物のチョイスに意味はないそうです(笑))。

【ゴリラ君】

・成績はもちろんフル単

・次からサークル幹事長

・人脈づくりの為にインターン

・起業もしたいのでMBAの勉強しよう

・TOEIC900点は目指さなきゃね

・充実してるぜ!

【パンダ君】

・何をやってもうまくいっている気がしない

・自分が才能を発揮できるのはどの分野?

・自分の個性を探しながら、人生どうあるべきか考えてみよう

ここまで聞いて、どちらの学生の方が先に進んでいる感じがしますか?

ゴリラ君の方がいろいろなことに挑戦しているし、将来の事を考えて行動しているように見えます。

逆にパンダ君は悶々とした毎日を過ごしてそうですよね…

しかし、パンダ君にはできていて、ゴリラ君にはできていないことがあると、宮本さんは言います。それは

「先を見据えているかどうか?」

だそうです。

「ゴリラ君の方が見据えて行動してそうだけど?」

多くの人はそう感じると思います。

ここで次の図を見てもらいましょう。

汎用的な能力が備わっていてこそ専門的なスキルを活かすことができます。

さらにそれらのスキルよりも根本的なところでは、精神が土台になっていることが分かります。

社会で活躍する人材になるためには、最終的に、この「ピラミッド」構造が完成していればいいのです。

つまり、「どの階層から作り始めるのか?」は大きな問題ではないわけです。

さっきの「ゴリラ君とパンダ君」の話に戻ります。

ピラミッド構造の図に従って考えれば、ゴリラ君は「専門性&汎用スキル」を、パンダ君は「精神」を磨いている段階なのだと考えることができます。

ここで重要なのが「専門性&汎用スキル」と違って、「精神」は自分と同レベル以上に作った人にしか見えない、という事です。

たしかに「専門性」や「汎用スキル」は、実際に目に見える形で発揮できるので周りの人から見ても、自分の目から見てもわかりやすそうですよね!

汎用スキルなら、「将来は海外で活躍するために英語を勉強しよう!」とか、専門性ならば、「エンジニアを目指しているからプログラミング教室に通おうかな」という具合。

一方で「精神」はというと、大事な能力ではあるのですが表面的に見えるものではないので、「精神」の重要性を分かって作っている人にしか認識されないのです。

つまり、「専門性&汎用スキル」を磨いているゴリラ君には「精神」の重要さが見えていない可能性が高く、「ピラミッド」が完成しない可能性が高い、と宮本さんは言います。

パンダ君は先を見据えて土台の部分、すなわち「精神」から作っています。

積み木する時を思い出してもらえると分かりますが、土台を大きく作ってこそ、その上にたくさんのブロックを積んでいく事ができますよね!

それと同じで、パンダ君はいつか「専門性&汎用スキル」を身につけなくてはいけない、という事もわかっているので、最終的に大きな「ピラミッド」を作り上げることができます。

この土台となる領域「精神」の重要性が分かっていることが2つ目の「意思決定の極意」なのです!

ピラミッドの各パートを伸ばすために、宮本さんがおススメするメンターと教材はこんな感じだそうです。

まとめると、「ピラミッド」の完成図を思い描けている人ほど、人生の中で自分にとって有意義な意思決定ができるということですね!

受験でも試験でも就活でも研究でも、何についてもそうだと思うのですが、ゴールが明確に見えていることって本当に大事なんだなあ、感じました。


3. 人間らしく生きる

さて、ここまで2つの極意を紹介してきました。

最後の極意は何でしょうか?

それはズバリ「理論だけに頼らない」です!

説明していきましょう。

次の図を見て下さい。これは血圧計なんかで有名な「オムロン」という企業の創業者が1970年に提唱した「SINIC理論」という理論の概念図です。

何やら難しそうですが、要するに社会・技術・科学は互いに影響を及ぼしながら発展してきたという事を表しています。

この理論によると現在は「最適化社会」。つまり、価値観が大きく転換し、「物質」重視する社会から人間の「心」を大切にする社会に変化していくタイミングです。

世の中全体の流れがそうなっていくので、この流れは個人にも当てはまってきます。

より良い意思決定するためにも、理論だけですべてを決めてしまおうとするのではなく、

自分の心に素直になって決めること。これが3つ目の極意だと宮本さんは言います。


4. これから求められる学生像

さて、これまで3つの極意を紹介してきました。

ではこの極意を社会で活かしていくにはどのようにすればいいのでしょうか?

そのためには今、求められている学生像を知ることが必要です。

先ほど紹介した通り、今の時代は最適化社会への過渡期を迎えています。移り変わっていく社会の中では、安定した職業は無いという事を前提として考えなければなりません。

企業側もそのことを分かって学生の採用を行っていきます。

つまり、これからの社会で必要とされるのは、安定を求める人ではなく、変化を楽しめる人です。

どんな危険にさらされたとしても、どんな環境の変化に直面したとしても、その変化に適応して楽しめるように自分を作り上げられるか否かが大切になってくると考えられます。

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今回の講演を通して、「自分には何が向いているのか?」そして「社会では何が求められているのか?」について知ることの重要性を感じました。

こういう疑問について考えることって遠回りに見えますが、まさしくパンダ君のようにピラミッドが完成した後から振り返ったら、実は近道だった、っていう事なのかなと感じました!

自分の内面って、大学生という、比較的自由に使う事の出来る時間が与えられている期間だからこそ十分な時間を取って考えられるんじゃないでしょうか?

3つの極意を活かしながら、普段の生活の中で、そして人生という長いスケールでも悔いの残らない意思決定をできるようにしていきたいと思います!

そして今後もRikeJoyでは、各分野の最先端を走る理系の方をお招きして講演会を開催する予定です!

皆さんがもっともっと理系を楽しめるようなイベントにしていきますので、ご参加お待ちしています!

講演情報などは公式Twitterをご確認ください!

(文責:けんしん)


RikeJoy

「理系を楽しみ尽くす!」をコンセプトに現役理系大学生/大学院生で活動する学生団体です。

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